しとやかな獣
信じていない、昔から何も信じていなかった気がする。
理由は、自分が息をするのと同じ感覚で人に嘘をつく人間だから。簡単だ。
嘘をつくのは気が楽だ。いい人間だって思われるし、そういう様に生きてれば円滑に事が進むし、嘘が本音になりそうな気がするし、本当に欲しいものに気付いた時に絶望しない為の防御になる。
最良な事だと心の底から思う。
一応でも大事に思っていた関係について、考えている。
ただそうした方がいいのかなって瞬間に思ったから、人恋しかったし、簡単でいいかなって、優しくしてもらえると思った。
腕の中にいる時に言われた「好きだよ」だとか「ずっと一緒にいたい」だとか、一字一句完璧には覚えていないけれどそんな様な言葉達の事、恐ろしいと思った。
何故なら私が関係を壊してみたのと同じで簡単でいいって相手も思ったから言ったのが透けて見えたから。
言わなくてもいい言葉がこの世には沢山あって、アレがそうだった。形は全然違うのに私が昔の恋人に吐いた暴言みたいだなぁって他人事みたいに思った。
そもそもの関係は破綻していたなんて事、私を含む皆ゲーム感覚で人と関わっているなんて恐ろしい話。
大事なものを壊して死ぬ程安心する、死ぬ程安心して1人で眠れる、大事なものはない方がいい。今まで好きになった人の事、本当に大好きだったのにな。